という事でトンデモ設定パラレル話です。
パラレル設定読んで「駄目だ」と思われたら続きを開かない事をオススメします。
これ誰得?みたいな話ですが、
完全に私と友人が得してますとも!(笑)
こういうのを考えてるのがとても楽しい!
というわけで、大丈夫だよ、という方は続きからどうぞー!
cross 1
「第一段階として接続は完了した。……ああ、心配すんな。必ず探し出して連れ帰る。残量が少ない、そろそろ壊すぞ」
言うが早いか、少年は手に持っていたモノを地に放り、躊躇いもなく踏み潰した。
「こっちは終わったよ。連絡は付いたかい?」
「ああ。……さて、どうする? ”抜ける”時に大分体力も消費しちまったし、大きな事は出来ねーぞ」
「……少し休みたい所だけど……ここは何処なんだろうね」
「見た所……そんな重要機密のあるような建物には見えないが……。何というか、こう、学校みたいな雰囲気?」
「ああ、カレッジに似ているね…………歩ける?」
「無理。こうやって立ってるだけでも、かなり、辛い」
「……僕も。眩暈だけで済むなら、よかった、け、ど」
「もー、限界……やべー……これで見つかる相手がマズかったらオレら、おわたー」
「それ、シャレに、なってな、いよ」
「……取り敢えず……意識、吹っ飛ばしとこか」
「……賛成……も、限界……」
目覚めると白い布が目に入った。
身体を包み込む柔らかな感覚、それに暖かい空気、静かな部屋の中に寝かされていた。
「……おい、生きてるか?」
「……何とか、ね。ここは何処だろう?」
「大方、さっきの建物の中の一部……じゃね?」
「保護されたのかな……僕らは」
「さあな」
その時、不意に扉が開く音が聞こえた。
どうやらかなりの人数が部屋の中に入ってきたようだ。足音がそれを物語っている。
こちらが目を覚ました事に気付いたのか、一人、明るい表情を見せながら顔を覗き込んできた。
金髪の少女であった。
「あ、気が付いたのね。よかったわ」
警戒は解かない。気だるさも相まってそのつもりで黙っていると彼女は屈託なく笑い、こう言って来る。
「心配しないで。ここはアッシュフォード学園って学校の一室よ。倒れてる貴方達を見つけて保護したの」
話はそれだけ聞けば大方の予想が付く。
しかしながら言語の問題という点においての問題がないようで、ほっと胸を撫で下ろしたい気持ちになった。
「私はミレイ。ミレイ=アッシュフォードよ。名前を聞いてわかるだろうけど、ここは私の家が運営してる学校なの。だから安心してくれて大丈夫よ」
「ところで、お前達は何者なんだ?」
彼女-------------ミレイの後に間髪入れずに割り込んでくる者がいた。
頭の痛み、身体の気だるさが抜けきらない状態でなければ身体を起こし、その顔を拝んでやろうかと思ったのだが、現状ではそれさえも叶わない程に体力を消耗していた。
「こら、ルルーシュ! 病人にはもう少し優しくしなさい!」
「……会長、病人と言えど身元不明人を匿うのは危険と言ってるんです。ここで保護しているより、病院に預けた方が設備も整っているんですから」
病院、と聞くと背筋にぞくりとするものが走った気がした。
無理にここに置いてもらう訳にはいかない、とでも言うかのように身体を起こそうと試みる。
だが様子に気付いたミレイにそれを止められた。
「……何かワケありのようね? よし、決めた。この子達は私が保護します!」
「?! 会長、何を!!」
「ルルーシュの言葉を聞いた途端に血相変えたのよ? 要は表向きになると困る事情があるって事じゃないかしら?」
ミレイは洞察力に優れているらしい。あの一言で自分達の事に少しでも気付いたというのは素晴らしいの一言だ。
事の動向を見守る事にして身体の力を抜く。
「だから事情を話してくれるまで、ここで一時的に預かるのよ。捜索届が出てたらその時には引き渡しになっちゃうかもしれないけれどね」
「……その心配は、必要ない」
力の篭らない声でそう言うと、彼らの視線が一斉に此方に向けられる。
「……保護してくれた事、感謝する……私は、シンラ……もう一人は、ライ、だ」
「まだ無理はしちゃ駄目よ? 少し休んで、まともに動けるようになってからまた話は聞くわ。ね?」
言われてさらっと頭を撫でられた。
気恥ずかしさが心を掠めたが、それよりも凄まじい程の睡魔が一気に襲い掛かってきた。
軽く頷くと、瞼を閉じて眠りに付く。
遠くにあれやこれやと話している声が聞こえていたが、今はそれよりも惰眠を貪りたかった。
そして、次に目が覚めたのは3日後の事であった。
顔に差し込む光のお陰で目が覚めた。
長いこと寝ていたお陰で身体の節々に痛みを感じたので少し動かして様子を見るが、異常は感じられない。
こんなに寝たのは久しぶりだ、と窓の外を眺めていると、後ろから少し笑いを含んだ声が聞こえた。
「寝すぎで髪が凄い事になってるよ、シンラ」
「おー……先に起きてたのか……って何だその服」
シンラが振り返ると、相棒がとても年相応な衣服を身に纏っていた。
黒のスラックスに真っ白いシャツ、という学生であるようないでたちだ。
「ミレイさんが用意してくれたんだ。シンラの分もあるよ、この学園の制服みたいだね」
きっちりと『制服』を着たライは「早く着替えておいで」と言うと部屋を後にする。
扉の向こうでは会話が聞こえ始めた。どうやら自分らを待ってくれているらしい人間達がいるようだ。
相手はライに任せて自分は用意してもらった服に袖を通しつつ、髪を整えるべく洗面所に向かった。
「……」
そして連れて行かれるがままに向かった場所は、『生徒会室』という札が掲げられている。
案内をしてくれた人物は生徒会室の前まで来ると、そこで別れて行ってしまった。案内するだけの役目を負っていたらしい。
中に入ればミレイを始めとした数人の学生の姿。
「おー、きたわね~! どう? 身体の調子は」
機嫌よく近付いてきたミレイは笑顔を向けたままで二人に問う。
「問題ない。眠ったら体力は戻った」
「なーんか口調が堅いわねー……もっと砕けた喋り方でいいわよ?」
「言語を理解するのに時間が掛かる……だから最初のうちは多少の堅さがあっても許して欲しい」
ミレイにしてみたら確かにどこか違和感のある喋り方をしているらしく、時折じっくり耳を傾ける仕草を見せる。
シンラは即座に言葉を発しているものの、文法を正しく使うにはまだ頭が追いついていないのだ。
自分の知っている言語を乗せて使ってみるが、どうやら彼女達には普通に通じる言語であるという確認が取れると安心して言葉を紡いでみせる。
「それで? お前達は何者なんだ?」
またもやあの声が聞こえた。今度はその声の発した主を探すことが出来た。
視線の先には黒髪に紫電の瞳を湛えた細身の少年が立っていた。
彼がルルーシュ、と呼ばれた人間なのだろうと思っていると、ミレイが先日同様に返す。
「こら、ルルーシュ! いきなり聞かれても困るでしょ! まずは自己紹介をしなさい!」
ミレイに言われるや少々その眉間に皺が寄る。
少々の間の後に「……ルルーシュ=ランペルージだ」と一言だけ返される。十分な挨拶だ。
「会長、おはようございます……って、あっ! 目が覚めたんだね」
丁度それと同時に部屋に入ってくる姿があった。
こちらを見るなりミレイとはまた違った意味で屈託のない笑顔を向けてきたのは、少年だった。
「いいタイミングで来たわね。今自己紹介を始めた所よ。スザク」
「そうだったんですか。あ、僕は枢木 スザクっていうんだ。よろしく」
スザクと名乗った少年の後、集まっていた他の人間達も続いた。
「オレはリヴァル。リヴァル=カルデモンドね」
「私はシャーリー=フェネット。よろしくね!」
「カレン=シュタットフェルトです。よろしく」
「……ニーナ=アインシュタインです」
全員の自己紹介が終わると、シンラとライは顔を見合わせて軽く頷きあう。
皆の方向へ向き直れば、軽く息を吸ってこう告げる。
「架狩 シンラだ。よろしく」
「ライ=ロードブリティッシュ、よろしく」
「それで本題なんだけど……貴方達はどうしてあそこで倒れていたのかしら?」
質問攻撃が開始されようとしてた。
覚悟はしていたので話せる事はあらかた話すつもりではいるものの、それを信じてもらえるかなどという保証はない。
そんなSF紛いのことなど、と一蹴されればそれまでだ。
しかしながらそれならそれで都合が悪くなるという事はない。むしろ動きやすくなるだけの話だ。
「どうやって辿り着いたのかは多分話しても信用してもらえないだろう、と思っている」
「どうやって来たのか、わからないの?」
「そう思ってもらって構わない。説明があまりにもし辛い」
「……お前達は、何処から来たんだ?」
何処、と反復するように聞き返すとルルーシュの顔がまたもや厳しいものに変わった。
「お前達はブリタニア本国、EU、それとも中華連邦から来たのかと聞いているんだ」
「ブリタニア? EU? 中華連邦?」
ルルーシュの問いにライがきょとんとしながら反復をする。
その様子が『作り物』でないというのが分かったのか、ルルーシュはミレイにこう言った。
「会長、もしかしたら記憶喪失なのかもしれませんよ。自分の住んでいた場所が分からないというのは重傷です」
「けどさぁ、名前だけはしっかり覚えてるもんなのか? 普通だったら「ここは何処? 私はだぁれ?」みたいなもんかと」
「リヴァル、お前はテレビの見過ぎだ。記憶喪失というのは何もすべてを忘れるという症例だけじゃない」
「わからないも何も……そんな場所があるのかというのも私達は元々から知らない。ここは、そのブリタニアとかいう国の中なのか?」
その発言はライ以外のその場にいた全員が目を丸くする発言だった。
勿論そんな事を言えば余計に怪しまれるのは分かっていた。
しかしながら言わなければ得ようとしている情報は手に入れることは出来ないだろうと判断した為、シンラは敢えて口にしたのだ。
「ここはエリア11……前は日本って呼ばれていた所よ」
言ってきたのはカレンと名乗った少女であった。清楚な感じで見た感じでは非常に大人しい印象を受ける。
「……うーん、取り敢えず身元保証とかそういうのがないとこの先危ないわよね~」
「会長……まさかまた悪い癖が出たんじゃないでしょうね」
「ねえ、シンラ、ライ。はっきりとした事がわかるまでこの学園にいたらどうかしら?」
「か、会長!!! 何を言って!!」
ミレイの言葉にルルーシュが一層表情を変えて反発しようとするが、ミレイはあくまでも聞き流している。
構わずにさらに続けてきた。
「お世辞にも、外は安全とは言い切れないの。この学校の中は大丈夫なんだけどね? だから身元がはっきりしていない貴方達が歩いていれば」
「軽く密航者扱いを受けることになりかねない、ということか。それがここに居させてもらう条件として提示されているなら、私達は貴方に従おう。貴方は命の恩人なのだから」
ライの言葉にミレイはますます機嫌を良くした様に笑みを浮かべる。
言葉の堅さがまだ気に入らないとは言われたが、それもおいおい直していけばいいと完結させる。
「ところで」
そこでシャーリーが口を挟んでくる。
「ミレイ会長、制服を着させたって事は学園にも編入させるんですか?」
「んふふ~勿論そのつもりよ。一応もうお爺様には許可を貰ってきてあるから、あとは本人達次第だけどね? どう?」
途端にシンラの顔が歪んだ。
ライはそれを見て苦笑を漏らしたが、他の人間にはその意図が分からないので困惑するか訝しげに見られた。
「問題はない、彼は勉強が嫌いなだけなんだ。居住区を与えてくれるなら是非お願いしたい」
ライがフォローをするかのように言うとミレイが続く。
「よし決まりね! クラスは二人ともルルーシュ達と同じクラスにしておいたわ。知らない人間ばかりのクラスよりは気が楽だと思うしね」
「感謝する」
何やらトントン拍子に事が進んでしまったが、どうやらこの学園内なら比較的安全のようである。
自分達が記憶喪失という事で片付けられてしまったのには正直驚きであったが、ご都合主義というわけでもなくそういう事で話を終わらせてくれるのは非常に有難い。
無駄話に時間を食うよりもこの場は大人しくミレイに従っておいたほうが得策……その考えは間違っていないようだ。
「……学校でABC?」
「彼女が用意してくれた場所だ。少しはお言葉に甘えようよ」
だがそれに付属する事柄に、シンラは盛大な溜息を吐いた。